胃のバリウム検査は正式には上部消化管造影検査と言います。
会社の健康診断などで受ける方も多いのではないでしょうか。そもそも胃のバリウム検査で何を観察しているのかと言いますと、主には胃の粘膜の異常:デコボコ具合を見つけします。通常の単純レントゲン写真と異なり、X線を連続して照射しながら行います。バリウムは、X線を透過しないので、バリウムが口腔から食道、胃、十二指腸へと流れていく様子を、動画で見ることができます。胃を空気や炭酸ガスでふくらませて黒く写る部分を作り、白く写るバリウムとのコントラストで細かな病変を写し出す「二重造影法」という手法で行います。体をゴロゴロ動かして、胃粘膜に造影剤が行き渡るように、また胃の形に合わせ撮影出来るように体を動かしながら行います。この上部消化管造影検査を受けて、造影剤(バリウム)が気持ち悪い・・という思いをされた方も沢山いらっしゃるのではないでしょうか?
さて、この胃のバリウム検査の結果で『異常所見あり』と言われ、胃の内視鏡検査を受けることになる方も沢山いらっしゃいます。異常所見って何? 要精密検査ということは危ないの!? と思われる方が殆どだと思います。
そこで、今回は『要精密検査』としてあげられる異常所見の数々とその意味合いについてご紹介いたします。
まずは正常の胃の形から・・・コマーシャルなどでよく見かけますよね。
さて、いよいよ本題。異常所見の数々とその意味合いとは!
1 前庭部狭小化
(左後→右前の斜位像)*黒く彩られている部分は造影剤です。
・前庭部が発泡剤を飲んでもふくらまない(硬化している)
・胃炎や潰瘍を繰り返して硬くなることもあるが、異常なしであることも多い
・まれに癌であることもある
2 ニッシェ
(仰臥位正面像)
・胃潰瘍が治り始めると胃粘膜のひだが潰瘍に向かって集中する
・まれに癌であることもある
※ニッシェとは「壁をくぼませて作った飾り棚」の意。
3 集中像
・治り始めた胃潰瘍の中心に集まった胃粘膜のひだが集中して出来る影
・まれに癌であることもある
4 辺縁不整
・胃壁の縁がなめらかな曲線でなくなったもの
・潰瘍、潰瘍瘢痕、粘膜の乱れなどが原因で潰瘍や癌のこともある
5 弯入
・大弯側がペコンと弯入している状態
・小弯近くの前壁や後壁に出来た病変(潰瘍や癌)によって壁が引っ張られておこる
6 胃角の変形
(短縮、開大等) 図のように胃角が変形します。
胃炎・胃潰瘍などの繰り返しや年齢(加齢)によることが多い。潰瘍や癌のこともあるので注意!
・・・・「バリウム検査の異常所見の数々」、いかがだったでしょうか。
バリウム検査所見によって病気が診断できるわけではないこともご理解いただけたかと思います。
一般的にバリウム検査で異常所見が見つかった場合は「胃の内視鏡検査を受けて下さい」と言われる場合がほとんどではないでしょうか? なぜなら、胃粘膜表面の病気は、影絵で見るバリウム検査よりも、胃粘膜を直視できる内視鏡検査の方が当然良くわかるからです。また、会社の健康診断などでバリウム検査を受け、異常を指摘されなかった方でも安心はできません!!なぜなら、バリウム検査では
・早期胃癌などの微小な病変はほとんど検出できない
・粘膜の色調の変化しか示さない胃炎などは表現されない
・食道病変はほとんどが見逃されてしまう
からです。
このような理由で、当院では一年に一度は胃の内視鏡検査を(バリウム検査ではなく)受けて頂くように患者様にご案内しております。胃は癌になると比較的進行が早く、2年おきに胃の内視鏡検査では手遅れになってしまう事もあるのです。
胃のバリウム検査も胃の内視鏡検査(保険診療)も、負担費用はほぼ同額と言われております。バリウム検査で異常が見つかった場合は、結局、胃の内視鏡検査も行わなければならないので、胃のバリウム検査を考えていらっしゃる方は最初に胃の内視鏡検査を受ける事をお勧めします。
当院は鼻からの胃カメラですから喉を通る時のオエッとなる感覚もなく、ラクラク検査が終わりますよ! 熟練した医師が検査を行えば決して苦しい検査ではありませんよ! ぜひ当院にお任せ下さい。