今日は胃腸の寄生虫に関するお話です。
「アニサキス条虫」・・・ご存知でしょうか?
「アニサキス条虫症」とは、魚介類に寄生している「アニサキス」という寄生虫の幼虫を生で食べてしまった時に、その幼虫が人の胃壁や腸壁に食い込み、激しい腹痛(胃痛)が起きるという病気です。
腹痛に限らず下痢、食欲不振といった症状が出現することもあります。
つまり、「魚介類を食べた後に起こる激しい胃痛」が「アニサキス条虫症」の典型的な症状なのです。
タラ、カレイ、サンマ、サケ、ニシン、サクラマス、イワシ、サバ、ハタハタ、スルメイカなどは要注意です。
普通に見かける胃炎や胃潰瘍の痛みと区別は不可能ですから、症状が上記のようなら、診断には胃カメラ(胃内視鏡検査)が必須です。
幼虫が胃の壁にめり込んでいる場合は、胃カメラで虫体を除去すればたちどころに症状が消えます。
(参照)実際にあった一例
実はこの「アニサキス症」・・・近年増加しています。
日本の冷蔵技術が発達し、新鮮な魚介類が大量に市場に出て家庭にまで届くようになり、新鮮な寄生虫!?が、同時に消費家庭に届いているからかもしれません。
(寄生虫は通常の低温では生きています。加熱処理かマイナス20℃以下の冷凍によって死亡すると言われています。)
予防法としては以下のようにするしかありません。
・生魚(刺身)はなるだけ食べない。
・魚介類は確実に「加熱調理」する。
・もし生魚を食べて腹痛があれば「胃内視鏡検査」を受ける。
・・・・でもですね、生の魚介類がない人生なんて・・・私には無理です!!
美味しい「刺身」は、これからの季節の食卓に欠かす事は出来ません!!
私は今後も刺身を食べます(宣言)。
そして、胃痛が出現したら素直に胃カメラを受けます。
今の時代、専門家を受診すればラクチンに胃カメラを受けられるのですから!
*最後にトリビア?
「アニサキス」についてもっと専門的に書くと、いくつか種類があります。
・正式名「アニサキス・シンプレックス」⇒白色半透明、魚の体内で渦巻状をしています。
・正式名「シュードテラノーバ・テシピエンス」⇒茶色っぽく、一般的には渦巻状をしていません。
どちらも体長2~3センチの線虫です。私の経験した症例は「シンプレックス」がほとんどです。