「病院に行ってみたら、待合室が混み合っていて座る場所も無かった」
当然待ち時間はとんでもなく長いだろうなと覚悟して待ちます。
・・・が、意外と早く診察まで終わった!という経験はありませんか?
逆に「病院に行ってみたら、待合室が割と空いている」
今日はラッキーなどと思って待ちます。
・・・が、3時間待っても診察に呼ばれない!という経験もありませんか?
実際、大学病院などでは待ち時間は3-4時間待ちは当たり前で、受診自体がほぼ一日仕事です。
病院の待ち時間は待合室からは判断出来ません。
『待合室の混雑状況≠実際の待ち時間』だからです。
なぜ見た目の混雑度との実際の待ち時間とのミスマッチが起こるのか。その理由は以下のように思います。
①患者さんごとに受診目的が異なる
ラーメン屋さんの行列はみんなラーメンを食べに来ているのでおおよそ列の長さから待ち時間が読めます。ドーナツ屋さんの行列もドーナツを買いに来ている方ばかりなので行列の長さが待ち時間と比例します。つまりラーメン屋やドーナツ屋では、お客さんが店内で要する時間がほぼ均一なので時間が読みやすいのです。
ところが、病院の場合は、待合室で受診を待っている人の目的は様々です。初診の診察を待つ人もいれば、内視鏡やCTなどの検査を受けに来た人、手術を受けに来た人、お薬だけをもらいに来た人もいます。つまり、目で見ただけでは行列全体のボリュームが判断できないのです。
例えば当院の場合であれば、内視鏡検査や手術の患者さんがいたら待ち時間は長くなります。内視鏡検査や手術は一般の診察のように早く終わりません(一人当たり20分程度です)。その合間をぬって診察をすることになるからです。そこで「今日は空いていてラッキー!と思ったのに・・・」の長い待ち時間が生じるのです。「こんなに空いているのに全然診察してもらえない。先生、どこかにお茶でもしに行っちゃったのかな・・・」なんてどうか思わないでくださいね。実は待合室の裏では一秒でも早く診察ができるように必死に内視鏡検査や手術を進めているんですよ。
②医師の人数が日によって異なる
その病院に一体何人の医師がいるのか・・・医師の人数は曜日や時間帯によって刻々と変化していきます。また、医師ごとに診療のスタイルが異なります(一人の患者さんの診療にかける時間が異なります)。
医師数が2倍であれば、単純に考えると2倍混み合っていても待ち時間は一緒です(実際には一緒どころか少なくなります)。
③待合室には診察待ちでない人もいる
当院を例にとって、待合室にいる方が待っているもの別に分類しました。
A:診察待ちの方(つまり医師への行列)
B:診察が終わって採血、内視鏡検査や手術に関する説明、血圧測定などを待っている方(つまり看護師への行列)
C:会計待ちの方(つまり会計担当する事務員への行列)
D:付添いの家族
いかがでしょうか。待合室の混雑度はA+B+C+Dを見ていることになります。
医療機関の立場から言うと、ハード(機械)とソフト(人員確保)の 観点から考えてBとCは比較的容易に対処可能なもので、必要十分なモーターが用意されていますので、このB,Cカテゴリーで、とんでもなく待たされること はないでしょう。つまり、待合室に20人が待っている状況として、そのうちのAの割合が高ければ高いほど、その混雑は「重症」と言ってよいのです。
「じゃあ、どうしたら待ち時間が少なくなるの・・?」
みなさんが辿り着くのはこれですよね。当院にはちゃんと答えがあります。それは予約を取って来院することです。
病院の予約枠は先に上げた混雑の理由を考慮して「この日はこのくらいの人数であれば診察可能」と判断して枠を決めています。つまり、予約枠が少ない日=予約を取らないで来院したら待たされる日、なのです。
どうですか?少しは待ち時間について理解していただけたでしょうか。
大切なお時間を有効活用するために、みなさんも工夫してみて下さいね。