こんにちは、ららぽーと横浜クリニックです。
皆さんは機能性ディスペプシアという病気を知っていますか?
なんと、日本人の4人に1人は、機能性ディスペプシア(機能性胃腸症)と言われています。
今回はこの機能性ディスペプシアについての解説を行っていきます。
胃痛や胃もたれ・胸焼けなどの症状が慢性的に続くため、胃内視鏡検査(胃カメラ)で精密検査を行ってみても、胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がんなどの異常が見つからない方が診断される病名で、1990年頃からアメリカの消化器病学会で提唱されるようになった、比較的新しい病状なんですよ。
つまり、
機能性ディスペプシア(機能性胃腸症)=器質的な異常がないのに慢性的に胃の症状が続く病気
*機能性疾患 :内視鏡検査などで異常が見つからないにも関わらず、臓器や器官などの働きが悪くなって症状を呈する状態を示します。
*ディスペプシア:消化不良を意味しますが、「機能性ディスペプシア」においては、胃や十二指腸における痛みやもたれなどの症状を示します。
という二つの言葉が合体した病名なんですね。
その中でもこの病気のタイプは大きく2種類に分かれます。
・食後愁訴症候群(食後のもたれ感やすぐにお腹がいっぱいになるタイプ)
・心窩部痛症候群(みぞおちの痛み・焼ける感じが起こりやすいタイプ)
最近までは胃痙攣、神経性胃炎、慢性胃炎などと診断されてきました。しかし本来「胃炎」とは胃の粘膜に炎症が起きている状態を表す言葉です。そのため「胃炎」をつけることは正確ではないとうことから、”機能性ディスペプシア”と呼ばれるようになったのです。
*症状
・胃の痛み
・みぞおちあたりが気持ち悪い
・胃のあたりがなんとなくおかしい
・少し食べるとすぐ満腹になり食欲がない
・胃もたれ
・むかむかするなど
上記のような症状が主な機能性ディスペプシアの症状です。症状がある方は、まずは胃カメラを受けましょう。
その他、血液検査やレントゲン・超音波検査・大腸内視鏡検査などが必要になる場合もあります。
これらの検査は、胃潰瘍や癌などの命に関わるような重大な疾患を見逃さないためにも行われています。
*原因
・胃の動きが悪くなっている、胃酸の刺激を受けやすくなっている
・ピロリ菌(胃の中で悪さをする細菌)が影響している
・ストレス
などが関係しているといわれています。
では、機能性胃腸症と診断されたらどのように治療していくのでしょうか。
〇生活習慣の改善
脂っこい物や甘い物、刺激物などを食べ過ぎていませんか? また、アルコールや喫煙でストレスを解消していませんか?
暴飲暴食や不規則な食生活、過度のアルコール、喫煙、過労、睡眠不足、ストレスなどを改善すると症状が軽減することもあります。
まずは自分の生活を見直してみて、改善できるところから実行してみましょう。
〇薬物療法
機能性ディスペプシアの治療薬には、機能性ディスペプシアに対して世界で初めて効果があると認められた”アコファイド”があります。主な効果は消化管運動の改善です。
他にも機能性ディスペプシアの治療薬には以下のような薬が使われます。
・消化管運動機能改善薬
胃もたれや食べてもすぐにお腹がいっぱいになってしまう方に、消化管の働きを活発にする薬を使います。漢方薬も使われています。
・酸分泌抑制薬
十二指腸に胃酸が流れ込むと胃の運動機能が低下することが確認されています。そのため胃酸の分泌を抑え、みぞおちの焼けるような感じや痛みを改善させる薬を使います。
・ピロリ菌の除菌
ピロリ菌に感染している機能性ディスペプシアの患者さんに除菌療法を行うと、症状が改善するという報告もあります。
・抗うつ薬、抗不安薬
ストレスが大きな原因となっている場合に効果が得られることがあります。
どうでしたか?
機能性ディスペプシアは多くの方が抱える病気です。「何か病気を見つけるために内視鏡検査を行ったのに特に病気が見つからなかった…」、診断までの過程が長いため「私の症状は、重大な病気なのかも?」などと不安になる方もいるかと思います。
機能性ディスペプシアは、命に関わるとか癌になりやすいとかの心配はありません。しかし本人にしかわからない辛い症状により、生活の質を大きく低下させてしまいます。
まずは、重大な疾患を見逃さないためにも胃カメラなどの検査を受けましょう。
また、複数の原因が重なっていることが多いので、薬だけに頼らず、生活習慣の改善をしましょう。
まずは一度、当院にご相談くださいね。