こんにちは、横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
皆さんは「胃石」という言葉を聞いたことがありますか?
「胃の中に石があるの?」と疑問に思った方もいらっしゃるかもしれませんね。実際は道にあるような石とはもちろん異なります。今回はそんな「胃石」についてご紹介したいと思います。
胃石(いせき)とは、部分的に消化された物質やまったく消化されなかった物質が集まって石のように固まり、胃やその他の消化管で動かなくなったもののことをいいます。
あまり考えたことはないかもしれませんが、胃は食べ物やその他の物質が部分的に消化されたり、消化されなかったりして硬くなったかたまりや異物が集まりやすい場所なんですよ。胃石や異物の直径が約2㎝を超えると、ほとんどの場合胃を通過することができなってしまうんです。
胃石には3種類あります。
①毛髪胃石:
食べものやその他の物質が固まる現象自体は誰にでも起こり得ますが、特定の条件下で起こりやすくなります。
胃の塩酸の量が少ない場合、胃の動きが悪く食べものが適切に移動しない場合、入れ歯をしている場合、食べものの咀嚼(そしゃく)が不十分な場合は、胃石や異物のリスクがあがります。
これらのリスクは高齢者に比較的多くみられ、例えば、消化管の手術を受けた人(特に肥満の治療で胃や腸の一部を切除した場合)は、胃の運動の低下、胃酸・ペプシン分泌の低下などによって消化作用が低下し、胃石や異物がとりわけ停滞しやすくなります。
糖尿病患者では、胃が内容物を適切に送り出せず空にできない状態(糖尿病性胃麻痺と呼ばれる)になることがあり、食べものが溜まって問題を起こします。
ほとんどの胃石は消化管を完全にふさぐわけではないため、症状は現れません。しかし、胃石が胃、小腸、まれに大腸を部分的にまたは完全にふさいでいる場合、けいれん、腹部膨満、食欲不振、嘔吐、ときには発熱が生じることがあります。
また、胃石患者の3割~7割の方は胃潰瘍を合併するため、胃潰瘍の症状も現れます。(胃潰瘍のブログ:胃潰瘍の深さによる分類)
多くの場合は腹部や胸部のX線検査で確認できます。ただし、閉塞物の性質を判定し、原因が腫瘍ではないことを確認する必要があるため、通常は内視鏡検査が行われます。
内視鏡検査の際、胃石であると判断できなかった場合は、一部を採取し、顕微鏡で調べて、毛や植物を探すこともあります(これを生検といいます)。
問題を判定するためにCT(コンピュータ断層撮影)検査や超音波検査も行われることがあります。
胃石は可動性なため、腫瘍などの鑑別につながります。
胃石と異物は、ほとんどの場合治療は不要です。
しかし、吐き気や痛み等なんらかの症状がある場合は胃石の分解を促すために、パパインや食肉軟化剤(食事と一緒に服用)、またはセルラーゼ(液体に溶解したもので、2~3日間服用する)などの酵素療法が処方されることがあります。
ときに、胃石を粉砕して胃を通過させたり、除去しやすくするために、鉗子(かんし)、レーザーなどの器具を使うこともあります。岩のように硬い胃石は、通常は外科的な手術で取り除く必要があります。
いかがでしたか?
症状が現れず胃石の存在に気付かないことも多いものですが、誰にでも起こりうるものです。症状がなければ治療は不要ですが、普段からよく噛んで食事をするなど、胃石が出来ないよう気を付けてみるのもいいかもしれません。
症状が出ている、思い当る節がある・・・などという方がいたら一度病院を受診し、レントゲンや胃内視鏡検査を受けましょう。
当院では苦痛のない胃カメラをご案内していますので、お気軽にご相談ください。