経鼻内視鏡.jP
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胃がないとどうなるの?

2016/06/01

胃は消化機能を担う大切な臓器のひとつですが、胃がんの治療の際には、胃の全体を切除する外科手術(胃全摘術)が必要になることがあります。

「胃がなくなっても平気なの?」と心配になりますよね・・・もちろん消化力に影響はありますが、胃がなくなってても日常生活を送ること自体はできます。

今回は「胃がないとどうなるのか」についてお話しいたします。

胃が果たす役割

胃の大きな役割は、食べたものを一時的に蓄えて攪拌(かくはん)して消化し、小腸へ少しずつ送りだすことです。また、体に必要な成分を分泌する役割も果たしています。
胃に蓄えられた内容物は胃液と混ぜ合わされ、胃液の強い酸によって内容物が殺菌され、ドロド口の粥状になります。
胃は、食物が小腸で効率よく消化吸収できるように下準備をし、少しずつ十二指腸へ送りだすポンプのような役割をしている臓器なのです。

胃がないとどうなるの?

胃はなくても生活を送るだけなら問題ありません。
もし胃を全摘出したら、「食べ方」の工夫で胃の働きを補うことになります。具体的には、口や小腸に胃の働きを肩がわりしてもらうのです。

例えば食事を今まで通りの速さで食べることは出来なくなってしまいます。胃がなくなってしまうことにより、食べたものを一時的に蓄える働きが無くなってしまうので、一度にたくさんの量を食べられなくなってしまいます。
口の中でよく噛んでから飲み込むようにし、胃が小腸に消化物を送りだすように、「少しずつ、ゆっくり」食べることが必要になります。
また、消化能力が低下する為、十分に栄養にならず体重減少に繋がることがあります。食物がダイレクトに消化物が小腸に流れてしまうため、下痢や便秘になりやすく、また術後の癒着による腸閉塞をきたすこともあります。

食べすぎには特に注意です。食べ物を蓄える器官がないので、食べ過ぎると小腸液や食物が食道へ逆流しやすくなり、逆流性食道炎を引き起こす原因になります。食べ過ぎを防ぐ為に、1回の食事量を少なくする事(低容量高カロリー)や、栄養不足にならない為に食事の回数を1日5~6回程度に分けるなど、工夫して摂取する必要があります。
胃がないことで、カルシウムを吸収する機能が低下し、骨がもろくなり、骨粗鬆症になったり、鉄分やビタミンB12(赤血球の生産に欠かせないビタミン)の摂取が困難となり貧血や神経炎になってしまうことあります。

今回は胃がなくなってしまうとどうなってしまうかについてお話いたしました。
体の中に当たり前に存在する胃という臓器がないことで、私たちの体に及ぼす影響は非常に大きく、大切なものだと再認識しますよね。
胃を全部切除するような胃がんにならないように、ピロリ菌の除菌や胃の内視鏡検査を定期的に行うなど、要点を押さえた健康管理に努めたいですね。