経鼻内視鏡.jP
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胃切除後に出現?ダンピング症候群について

2016/07/01

今回は、胃切除後の患者さんのみがなる病態「ダンピング症候群」についてお話します。

ダンピング症候群とは

みなさま「ダンピング症候群」という言葉をお聞きになったことはありますか?
ダンピング症候群とは、胃の切除手術を受けた人の15~30%にみられる胃切除後症候群(postgastrectomy syndrome)のひとつです。
今まで胃の中で混ぜ合わされて徐々に腸の中へ移動していた食物が、胃がないため急速に腸に流入することで起こるものです。
ダンピング症候群には、食事中や食後すぐに現れる「早期ダンピング症候群」と、食後2~3時間経ってから症状が現れる「後期ダンピング症候群」の2種類に分かれます。

【早期ダンピング症候群】

食後5分~30分で、冷や汗・動悸・めまい・しびれ・だるさなどの全身症状、腹痛や下痢・吐き気・嘔吐・腹部膨満などの腹部症状が現れます。
【後期ダンピング症候群】
食後2~3時間に頭痛・汗が出る・脈拍が増える・めまい・脱力感・気を失う等の症状がみられます。

【原因】

まず、消化器官である胃は、食べ物を一時的に溜めておいたり、タンパク質や脂肪の一部を消化分解したりするなど、消化吸収の過程で大きな役割を果たしています。胃癌などの病気が原因で胃を摘出したり、一部切除した場合は消化機能が失われてしまいます。
ダンピング症候群を含む胃切除後症候群は、胃のどの部分を切除したかによって症状が異なると言われます。
胃には食道側の入り口にあたる噴門部と、胃の腸側への出口にあたる幽門部があります。この幽門部を切除した場合は、食べ物を貯めておく機能が失われてしまい、小腸に一度に流れ込んでしまってダンピング症候群を起こしてしまいます。

【治療方法】

早期ダンピング症候群の場合、まずは食事療法を徹底します。「低糖質・高たんぱく・適度な脂肪の食事」で、なるべく水分を少なくします。食事は1日5~6回に分けて少しずつ食べることが理想とされます。また、冷たいものは避け、食後20~30分ほど横になることも大切です。
後期ダンピング症候群の場合は、1回の食事量を少なくし、ゆっくり時間をかけて食べるようにします。症状が現れた時には飴など少量の糖分を摂取すると治まることが多いため、薬で治療をおこなうことはほとんどありません。

【最後に…】

胃切除後は、精神的なダメージも肉体的な変化もとても大きいため、様々な悩みが生じてくるものです。胃の切除後であっても工夫をすれば食事を楽しむことは可能ですから、ダンピング症候群に悩まされている方は食べ方や生活習慣を改善して、少しでも早く自分なりの新しい生活スタイルを身につけられるようにしましょう。
胃を切除しなければいけなくなるような病気にならないためにも、胃の定期的な検査(経鼻内視鏡検査)をお勧めします。