食道裂孔ヘルニアとは食道と胃のつなぎ目の筋肉が弱くなって隙間が大きくなり、胃の上部の一部だけが食道の方にずれ出てきた状態のことを言います。
ちょっと詳しく書くと・・・(難しめかな?)
人には胸部と腹部の間に横隔膜という隔壁があり胸腔と腹腔を分けています。
胸腔と腹腔に連続している大動脈・大静脈・食道はそれぞれ横隔膜にある裂孔を通っています。
食道が通る穴が食道裂孔で、この穴を通って腹腔内にあるべき胃の一部が胸腔側へ脱出している状態を食道裂孔ヘルニアといいます。
食道裂孔からの胃の脱出は腹圧の掛け具合によっても変化しますし、立ったり座ったりしている時と横になっている時でも変化します。また呼吸によって出たり入ったりもします。
重症例では胃の半分以上、時には全体が縦隔内に脱出することさえあるくらいです。
(参照)食道裂孔ヘルニア
では一体何故、食道裂孔ヘルニアになってしまうのでしょうか?
原因としては生まれつき食道裂孔が緩く胃が脱出している先天性の食道裂孔ヘルニアと、
高齢となり体の組織が緩むとともに食道裂孔も緩んで食道裂孔ヘルニアとがあります。
また背中の曲がった人が解剖学的特長として食道裂孔ヘルニアを合併していることも稀ではありません。
その他、喘息・慢性気管支炎などの慢性の肺疾患のある人・肥満の人は腹圧が上昇するので食道裂孔ヘルニアになりやすくなります。
「食道裂孔ヘルニア」と聞くとその病名から腰の“ヘルニア”のようなものなのかな?
と連想してしまう人もいますが、当然ながら全く別物です。
(「ヘルニア」とは「飛び出すor滑り出す」というような意味合いなので、体の色々な部分でヘルニアと呼ばれる病気があるのです)
食道裂孔ヘルニアは、軽症ならば治療や手術の必要はないです。
ただし、食道裂孔ヘルニアが高度になると胃液が食道に逆流し食道の炎症を引き起こすことになります。
胸焼けや腹痛などの自覚症状がある場合は、逆流性食道炎になっている可能性がありますので、
日常生活でこのような症状に気づいたら早めに受診することが大切になりますね。
(参照)逆流性食道炎