医療機器は感染の危険度別に3段階(critical,semi-critical,non-critical)に分類されています。
消化器内視鏡(胃カメラや大腸カメラ)はsemi-criticalに属し、高い水準の洗浄と消毒が必要です。
さて、現在、医療機関で用いられている洗浄消毒液のひとつに過酢酸があります。
過酢酸(製品名;アセサイド6%)の利点は蛋白質変性作用をもち、短時間で高い殺菌作用と安全性を併せ持つことです。
一方、生体内では容易に分解されるため毒性が低く、日本では食品分野にも用いられているという実績があります。
高度の内視鏡洗浄消毒が自動で17分程度で完結するのは消毒する医療者にとって大きな魅力です。
現在の日本の内視鏡消毒の趨勢は高水準洗浄消毒へと向かっています。
その観点では、過酢酸による洗浄は時代の要請にかなったものだと言えます。
欠点としては酢酸臭があり、専用のクローズドの内視鏡洗浄消毒装置が必要であることや、内視鏡自身に与えるダメージが大きいことです。
現在の保険医療報酬制度の実情から考えると、長期的にはコストがかさんだ結果、医療機関を疲弊させることになるかもしれません。
いつかは自由診療という形で、患者さん側からも高水準消毒に対する経済的投資が必要になるかもしれませんね。
他の洗浄消毒液についてはこちら